My Choice

クリエイティブディレクターとしてドレス部門を統括する中村達也と、〈ビームスF〉のディレクターを務める西口修平。
スナップでも常連の二人が、今季、思わず個人買いしてしまったあんなアイテムや、
本気で欲しい!と思うこんなアイテムを、漏れなく一挙にご紹介。

Tatsuya Nakamura
1963年、新潟県生まれ。アルバイトを経て大学卒業と同時にBEAMSに入社。「ビームス渋谷」、「ビームスF」の店長、バイヤーを経て、現在はクリエイティブディレクターとしてドレス部門を統括する。多くの媒体で連載を持つほか、自身のブログ「ELEMENTS OF STYLE」も人気。
Shuhei Nishiguchi
1977年、大阪府生まれ。時代性のあるクラシックを提案するレーベル〈ビームスF〉のディレクター。今「ピッティ・ウオモ」で最もスナップされる日本人としても話題。クラシックを基軸としつつも、そこに独自の感性で古着などをミックスするコーディネート提案に定評あり。

Suit

本格的なクラシック回帰への流れから“今季はブリティッシュテイストのスーツに注目したい”と口々に語る両名。とはいえ注目するポイントは、それぞれ異なるようで…。

(左)「今季的なブリティッシュテイストを表現する上で欠かせないディテールがチェンジポケットとプリーツパンツ」と語る中村。80年代にも流行した英国スタイルにモダンなイタリアンテイストを取り入れることで、懐かしさの中にも新鮮さを感じさせるスタイルを体現している。

(右)曰く「ブラウングレンプレイドにグリーンのウィンドウペーンを配した英国的な柄ですが、イタリアのカルロ バルベラならではの柔らかな風合い、というところに一目惚れした」とのこと。ラウンドカラーのクレリックシャツ&サスペンダーで、西口流クラシックスタイルを表現。

懐古主義に陥らないモダンな仕立てのチェンジポケット

「クラシックムードが高まる中、チェンジポケットや英国調の生地のスーツを選ぶことで、より今季的な印象を与えることができます。セミワイドカラーのシャツや例年よりも大柄になった小紋柄のタイで全体のバランスを整え、シューズも表革のものを。エレガントなものはよりエレガントに着こなすのが、今シーズンのポイントだと思います」

Change Pocket
ヴィンテージ調のドライでハリのあるチェック地を、肩パッドを省き、薄い芯地のみで軽やかに仕立て上げた。パンツがプリーツ仕様という点も見逃せないポイント。

Nakamura’s Choice

英国のリード&テイラー社製のブルーグレー地にグリーンのラインが走るグレンプレイド柄の生地を採用。チェンジポケットやプリーツパンツなどクラシックな要素は満載ながら、軽やかな仕立ての恩恵で、モダンな雰囲気を纏っている。

デザイン性の高いショールカラーのダブルブレステッド型のジレを備えたスリーピーススーツ。変形のシャドウヘリンボーンや48サイズ換算で裾幅18㎝のパンツといったディテールからは、最先端のモードな雰囲気が薫り立つ。

英国調のチェックが今シーズンのスーツ選びのポイント

「グレーベースに白と黒のグレンプレイドが配されたスリーピースに、ブラックのニットタイ、黒の表革の靴、そしてサスペンダーもグレー×ブラックで統一した、モノトーン使いがポイント。ハットとクレリックをダークネイビーにすることでシックなクラシックスタイルを表現しています。グレー×ブラックのモノトーン使いは注目の配色のひとつです」

British Taste Fabric
〈タリアトーレ〉の中でも人気の『ヴェスヴィオ』。ラペルドのジレやプリーツを配したパンツなど、クラシックな雰囲気が漂う一着は、モノトーンな配色でモダンさを演出。

Nishiguchi’s Choice

パンツをプリーツの仕様に変更した事で、腰元に変化をもたせた本作は、柔らかな肩周りと立体的な胸周りの作りが秀逸。ネイビーのグレンチェック地を半毛芯仕立てにしているため、見た目も着心地も軽やか。

一枚毛芯で仕立てられたこちらは、ミディアムグレーのフランネルの上にベージュのウィンドウペーンをブークレによって立体的に描き出す事で、現代的なブリティッシュテイストを表現。やや広めな9㎝のラペル幅も相まって存在感を放つ。

Jacket

ジャケット選びに関しても、二人のキャラクターの差がはっきりと出た結果に。今年キャリア30年目を迎えた中村は、落ち着いた印象でありながら今季の注目カラーとされるグレーをベースにしたもの。一方西口は、ベーシックながら若々しさと品格溢れるネイビーをベースとしたものをチョイス。

グレーを基調としたものが断然オススメです

「ジャケットでもタイをするのが気分」という言葉通り、ダブルのジレにシャンブレーのタブカラーシャツとロウシルクのタイで、硬すぎないタイドアップスタイルを提案。ジャケット選びのポイントは、「今季のトレンドカラーの一つであるインディゴとグレーのコンビネーション」。

馴染ませた感じのネイビーベースが気分なんです

ハリ感のある英国生地のジャケット、しなやかなニット、そして太畝コーデュロイのパンツと、アイテムごとに素材感を変えることで、メリハリのあるワントーンコーディネートを提案した西口は、「英国生地なのに馴染ませた感じの千鳥格子ってところが今季っぽい雰囲気」と語る。

(左)ウールにシルクとナイロン、リネンを混紡することで、しっとりとした柔らかなタッチを実現。ネイビーにブラウンのウィンドウペーンを走らせることで、イタリア人にも愛されてきたカラーリング“アズーロ・エ・マローネ”を表現した。

(右)オーバーチェックを落ち着いた印象のグレーとブラウンで表現し着こなしやすさも考慮するあたりは、生地使いに定評のある〈エルネスト〉ならでは。高級生地メーカー・フェルラ社の素材を使用しているため、肌触りはソフトかつ軽やか。

Nakamura’s Choice

  • 伝統的なテーラーリングの技術とモダンな感性を同居させる〈スティレラティーノ〉からの一着には、グレーのベースにうっすらとネイビーやレッドの格子柄が配される。

  • 一枚毛芯の総裏仕立てを採用しつつも、肩パッドを省き非常に軽く仕上げることで快適な着心地を実現。ウールとシルクの掛け合わせによって起毛素材ながら微光沢を放つ。

Nishiguchi’s Choice

  • メランジのブルーグレーによって絶妙なニュアンスを放つ本作は、昨今の起毛素材特有のソフトな生地感が魅力。立体的な胸周りの作りからも、仕立ての良さが伺える。

  • ブークレによるダークネイビーでウィンドウペーンを表現。ベースとチェック柄でそれぞれ濃度の異なるネイビーを用いているため、ワントーンコーディネートにも最適。

Gillet

「クラシック回帰の流れを汲んで、今季はジレのバリエーションも豊富」と語る中村。ダブルや襟付き、そしてニット素材を採用したモデルまで、そのバリエーションは様々。自然と着こなしの幅も広がりを見せる。

幅の広がりを見せる進化系のジレが面白い

8Bのダブルブレステッドのツイードジレを、ネイティブ柄のガウンとラウンドカラーのデニムシャツで合わせ、グレーのスラックスでクリーンな印象をキープ。「素材のバリエーションも増えているので着こなしの幅も広がります」。

Nakamura’s Choice

モダンなクラシックスタイルを追求し続ける〈タリアトーレ〉のラペルドジレ。ブラウンのハウンドトゥース柄との掛け合わせによって、よりクラシックなムードが増している。立体的なラペルのロールは、ジャケット作りを得意とする同ブランドならでは。

通常のニットベストと異なり、裾の部分を山型にすることで、よりドレッシーな印象に。また前身頃と後ろ身頃のテンションを変えて編んでいるため、着用時のフォルムも美麗。

ブラウンやネイビーのネップが入ったツイード素材による表情豊かな一着。ウールにナイロンやシルク、そしてリネンを織り交ぜることによって、絶妙なヴィンテージ感を再現。

coordinate

カジュアルスタイルにも存在感のあるジレは活躍必至。コーディネートにメリハリをつけることが可能になる上、ドレス感の強い襟付きのジレが、カジュアルな印象のニットスタイルにミックス感を添えている。

ブラウン系でまとめたベーシックなジャケット&パンツスタイルに襟付きのジレを差し込むだけで、コーディネートに新鮮味が生まれる。よりクラシックなテイストがジレによって加味されるため、今季的なスタイリングに。

Pleated Trousers

ここ数シーズン、変化が著しいドレスパンツのジャンル。そんな中でもトレンドに敏感な西口が注目するのがプリーツパンツだ。西口流ミックスコーデも一見の価値あり。

プリーツ入りのパンツに注目しています

「プリーツの復活でパンツのシルエットが変わりました。最近はこれぐらい太いシルエットのものも気になります」。ワタリがかなり太い〈ベルウィッチ〉のプリーツパンツにバブアーやヴィンテージのジレを合わせ、タイドアップするミックススタイルを提案。

Nishiguchi’s Choice

〈インコテックス〉のニューライン『1 1 』に、生地を載せ替えたBEAMS別注モデル。サイドアジャスターを配したことでブリティッシュテイストを強く打ち出したベルトレス仕様。従来のモデルに比べ腰元のプリーツによって、ヒップ周り及びワタリに余裕をもたせている。

プリーツ仕様でコーデュロイ素材という旬が薫る一本は、〈PT01〉によるBEAMSエクスクルーシブモデル『イーヴォ エフ フィット』。『スーパースリム』の裾幅はそのままに、ウエスト周りに少しだけゆとりを持たせたことで、快適なはき心地と抜群の美脚効果を期待できる。

サイドアジャスター付き、2アウトプリーツ、48サイズ換算で裾幅7.5㎝という、現代解釈のクラシックな要素を詰め込んだ一本。ネップを織り込んだ素材感によって、テーラードはもちろん、フィールドジャケットなどの野趣溢れるアイテムとも組み合わせやすくなっている。

Turtle Neck Knit

中村がニットのジャンルでイチオシするのが、タートルネックだ。特に今季はミドルゲージのケーブル編みのものが気になっていて、「近年見てきた中で最も気に入った」という物があるほどの執心ぶり。

今季的なタートルネックはケーブル編みです

「近年見てきたメランジニットの中で、一番気に入っています!」と、やや興奮気味に語るほど中村が執心する〈グランサッソ〉のタートルネックニット。美しいインディゴのメランジによるケーブル柄を活かすべく、無地のジャケット、ホワイトパンツを合わせている。

Nakamura’s Choice

世界最古のニットブランド〈ドルモア〉による一枚は、上質なウールを使用することでしなやかな肌触りと軽やかな着心地を実現。ミドルゲージで編み上げたこちらは、キャメルカラーによって今季的な空気感を纏う。

上品なライトグレーのカラーリングが目を引く〈マックローレン〉製のタートルネックニット。袖や背面はプレーンな編み地を用いつつ正面に変形のケーブル編みを採用するとこで、変化に富んだ表情を生み出している。

Knit Polo

「ニットポロの襟はジャケットから出す派」と語る西口。素材感のあるブリティッシュテイストのスーツに、この手のニットポロを合わせるスタイリングを今シーズンは実践していく模様。

英国的な素材感のあるスーツにはニットポロを

素材感のあるグレーのフランネルスーツに合わせたのは、しなやかな風合いの〈ルトロワ〉のブラックニットポロ。「トレンドカラーのグレーをモノトーンで合わせることで、モダンな雰囲気を演出しました。素材感のあるスーツならニットポロも相性が良いです」。

Nishiguchi’s Choice

袖のターンナップやレトロな雰囲気を醸し出す襟型など、このジャンルの大代表ともいうべき〈ジョンスメドレー〉のニットポロ。30ゲージで丁寧に編み上げたややゆったりとしたフォルムが、逆に今新鮮に映る。

同ブランドの『ドルモア モダン』という、スーパー140’sのメリノウール糸で仕上げたフォーシーズン対応ニットラインからの一枚。上質な素材を用いているため、肌触りはしっとりと滑らか。やや小振りな襟型もポイント。

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