MR_BEAMS STYLE 06

やっぱり人が
好き。

ビームスを巡る
「ものづくりの群像」

美しいモノの背景に秘められた、尊い手仕事に思いを馳せられる。
だからこそ、モノが好きな人はたいてい優しい。だって結局は〝人が好き〟なのだから……。
ここではビームスのオリジナルアイテムを産み出す、愛すべきつくり手たちに迫ります。

Photo / Portrait : Hiroaki Shinohara, Still : Osami Watanabe(Sammy Studio)

スーツ
をつくる人

柴山登光さん

型紙の作成からサンプルづくり、生産現場への技術指導など、洋服づくりには欠かせないプロフェッショナルが「モデリスト」。なかでもビームスのオリジナルスーツを手がける柴山登光さんは、世界的に認められたトップクラスの技術者です。

「子供のころからものづくりが好きでしたからね。手に職をつけたくて、上京後は高校に通いながら親戚のテーラーで修業しました。しかし昭和40年代には注文服が衰退し始めたこともあって、既製服に転向。当時まだ知られていなかった、モデリストの勉強を始めたのです」

ミラノの名門モデリスト専門学校で本場イタリアの技術を修め、日本の有名アパレルメーカーでさまざまなジャンルの生産に携わったことで、その才能は開花。国際衣服デザイナー協会(IACDE)の国際大会にて、栄誉あるミケランジェロ賞を3度も受賞するなど、その名を世界に轟かせました。
日本におけるモデリストの草分け的存在として知られ、現在では後進の育成にも努める柴山さんですが、20年にも及ぶビームスとのスーツづくりでは、いまだに学ばされることが多いと言います。

「ビームスは〝O脚でも足がまっすぐ見えるように〟とか、ほかが決して言わない無理難題を言うんですよ(笑)。でもそれに応えるために知恵を絞ることで、新しい発見が生まれる。おかげで私自身ずいぶんスキルアップできましたよ。時代の変化に合わせて求められることも変わってきますし、この仕事は頑固じゃダメ。目を肥やして、常に頭を柔らかくしておかないとね」

自らの想いを線に乗せて
オリジナルのラインを描いていく

写真左上/古希を迎えた柴山さんですが、ピッティ・ウオモに出かけ最新のトレンドを把握するなど、その腕と感性は衰えていません。写真上・左下/フリーハンドで引く型紙にこだわり続ける柴山さん。写真右下/国際衣服デザイナー協会(IACDE)の国際大会では、3度にわたりミケランジェロ賞を授与。現在はセコリジャパンスクールの講師長やメンズものづくり塾の塾長を務めるなど、その技術を次世代に伝えています。

日本人でも男らしく立体的で着やすい服を実現するために、オリジナルで型紙を起こし、パターンから縫製までこだわり尽くした逸品。

BEAMS F Suit ¥100,000+Tax

ジャケット
をつくる人たち

株式会社リングヂャケット

「このごろ若い子たちが、入れてくれって、ウチにくるんですよ」

1954年に創業した日本を代表するファクトリー、リングヂャケット。その社長である福島薫一さんは嬉しそうに語りました。確かにこの工場には、20〜30代の若者が多く、彼らが放つ静かな活気でみなぎっています。
「もちろん工場だから流れ作業が基本なのですが、月に1回工場内で塾を開催して、自分のスーツをつくれる日があるんです。そんな社風だから若い人も集まるし、世界的なテーラーが何人も生まれているんでしょうね」
リングヂャケットきってのベテランである工場長の村上義夫さんが、「社長は言いづらいと思うけれど……」と口を挟みます。
「ウチの場合、ここはこうならんか? と社長が絶えずテーマを持ってくるんです。それを超えるために、僕たちは常に進化しなくてはならないんですよ」

その「テーマ」は、本場イタリアのファクトリーを凌駕する評価を勝ち取り、世界中から注文が殺到するようになったいまでも、絶えず投げかけられているのだとか。
「どんなインポートよりも着やすいとほめてくれる方もいますが、まだ目標はあります。上襟がドーンと登った、存在感のある服。それと着たときに〝赤ちゃんをおんぶしている〟ような服。だって前じゃなくて、後ろから背負うほうが着ていて楽でしょう? そんな服をつくりたいですね」
「ほかの工場じゃ、こういうものづくりをしているところはないでしょうね(笑)」

村上さんも嬉しそうに語りました。

ものづくりに完成はない。
伸びしろはまだあります

写真下/若手に技術指導する職人歴50年の工場長、村上義夫さん。「手先が器用じゃなくても、もっといいものをつくりたい、と葛藤できるヤツは上達します」と語ります。写真上右・上左/服本来の柔らかさにこだわる、リングヂャケットのものづくり。特に「襟を登らす」ことを意識しているといいます。写真中/服を愛する職人が集う、リングヂャケット。そんな活気あふれる社風をつくりあげたのが、社長の福島薫一さん(中左)です。

バイヤーや店舗スタッフからの意見も取り入れ、毎シーズンミリ単位でアップデートし続けている、オリジナルのジャケット。

BRILLA PER IL GUSTO Jacket ¥90,000+Tax

シャツ
をつくる人たち

ウインスロップ株式会社

動きやすくて、ジャケットを脱いでもかっこよく見える。そんな評判で人気を集めるビームスオリジナルのドレスシャツは、福島県の内陸部、のどかな丘陵地帯にある、メンズシャツ専門の工場で縫われています。

社員は約60人ほど在籍しますが、イタリアのシャツブランドがそうであるように、縫製をになうのはほとんどが地元の女性。そんな現場をまとめあげるのが、工場長の吉田光明さんです。
「シャツづくりは流れ作業だけれど、生地は生き物だから当然個体差は出ます。特にシャツの顔である襟づくりは大変。生地が斜行していたりするし、芯地との相性を見極めつつ縫製するのには、感覚的な要素も必要になってきますから。といってもベテランならうまい、というものでもない。経験年数より、性格のほうが重要かもしれませんね」

ミシンやプレス、裁断機の音が鳴り響く工場の中で、ひとり静かに型紙と向き合うのは、企画部の佐藤好雄さん。生地の上に型紙を重ねると、ヘラのような形をした包丁を突き立て、パーツごとに切り出していきます。サンプルやオーダー製品の生地については、いまだにこの昔ながらの裁断法が用いられているといいます。
「ハサミでは細かい曲線が表現できないので、この道具が必要なんです。裁断はミリ単位の調整が必要ですし、私も入社してからマスターするのに3〜4年はかかりました。ビームスさんの場合は肩まできれいに柄が通るように注文されるので、特に難しい。A型っぽい性格の人に向いているかもしれないですね(笑)」

ほかの製品を見れば
うちのほうがいいな、って
そりゃ思いますよ(笑)

写真左・下左/裁断用の包丁を何本も使い分け、生地を切り出していく佐藤好雄さん。「この裁断のやり方だと、1日7枚程度が限界です」と語ります。写真上/縫製の工程は、思っていたよりもずっとスピーディ。そのなかでも重要な工程とされ、ビームスのこだわりも強い襟のパートに関しては、特に入念に行われます。写真右下/生地を効率よく裁断できる、自動裁断機。しかしその微調整は、もちろん熟練の職人によって行われるのです。

腕の上げやすさや、チェストが薄い日本人の体型をカバーすべく、研究され尽くしたパターンが自慢のドレスシャツ。襟の美しさも出色。

{{item("370").brand}}{{item_p("370")}}

ネクタイ
をつくる人たち

株式会社アイネックス
ネクタイ工房モタイ

ハンドメイドならではの柔らかさにとことんこだわった、ビームスのオリジナルネクタイ。その生産を手掛けるのは、世界中のネックウエアを知り尽くしたスペシャリストが集まる、株式会社アイネックスです。そして彼らから全幅の信頼を置かれているのが、キャリア40年を誇る川越在住の職人、罍信雄さんです。
「私がこだわることは、とにかく〝たくさんつくらないこと〟です」と語る彼のものづくりは、誠実そのもの。量産品のネクタイ生地であれば、無地も柄もまとめて型紙と重ねて、一度に大量に裁断してしまうところですが、彼は同じ柄の生地を数枚重ねるだけ。そして「どの顔がいちばんよく見えるんだろう?」と、生地と対話するように見極めたうえで、裁断機にかけるのです。

裁断を終えた生地は、熟練した縫製職人の手縫いによって、ネクタイの形へと変化を遂げます。そして最後の仕上げは、再び罍さんの出番。たとえ1000本であろうと、彼がたったひとりでアイロンをかけるのです。
「肩が痛くて大変ですが(笑)、バイヤーさんによって表情の好みがありますから、私が一本一本調整しなくてはいけません。ここは強くプレスして、ここはふっくら感を出そう、とかね」

一見シンプルに見えるネクタイですが、そのつくりがいかに複雑で、職人の技なくしては成り立たないものであるかを、彼の仕事からは実感させられます。
「生地の織り方も、糸の質感も毎回違う。いつだって初めての一本というつもりで、生地と睨めっこしていますよ(笑)」

私たちが何本つくろうと
お客様にとっては、
大切な一本のネクタイです

写真右・下左/ストライプの流れをじっくりと見極めながら、型紙をのせる罍さん。「ネクタイの顔は、裁断で3割が決まると思います」。写真中/裁断を終えた一枚のパーツは芯地を合わせて、待ち針で固定します。写真左上/場所によって縫製のテンションを変えるなど、表情に変化をつけられるのが手縫いの魅力。「30年この仕事をやっていますが、一本として同じものはありませんね」とは、縫製を担当する職人さんの言葉。

ハンドメイドによって絶妙な柔らかさと、立体的な縁のロール感が表現されたネクタイ。厳選されたシルク生地にも定評があります。

BEAMS F Tie ¥10,000+Tax


をつくる人たち

オリエンタルシューズ株式会社 

「文明から文化へと、時代が求めるものが変わってきたと思うんです」

1947年に創業したオリエンタルシューズ株式会社の代表取締役、松本正剛さんは語りました。従来は大量生産に重きを置いていたファクトリーでしたが、近年は成熟した日本の消費者たちが〝モノの背景にある文化的なストーリー〟を求めていることを実感。かつて行われていたグッドイヤーウェルト製法を復活させ、本格的な紳士靴の製造に再び乗り出したのです。
「こういうことをやらないと、もはや日本に工場がある意味がないんじゃないかな、と思ったんですよね」

日本の靴業界を代表するデザイナーの坪内浩さんや、クラシックファッション業界で長年活躍した榎本浩司さんといった新しいメンバーの力もあり、新生オリエンタルシューズの本格靴は、スタートからわずか数年でビームスのオリジナルを手掛けるまでに急成長を遂げたのです。

その生産をになう商品部の木村雅之さんは、ちょっと恥ずかしそうにこう語ってくれました。
「怒られるかもしれませんが、取引先の中でも、ビームスさんの注文はダントツに細かいです。履き心地はもちろん、デザイン、カッティングから中敷のネームの位置まで(笑)、全てにこだわりますから。何度もサンプル製作を繰り返して、完成までに2年かかりました。僕たちの工場には若い職人が多いから、チャレンジすることには貪欲なんです。たとえ厳しくても、こだわったものづくりができる、いまのほうが楽しいです」

納得いくまでとことんやるのが
うちのモノづくりかな

写真右上/かつてこの工場でグッドイヤーウェルト製法の靴がつくられていた時代を知る、数少ない職人さん。彼らの知識を頼りに、オリエンタルシューズの本格靴は復活しました。写真上/中物には足なじみのよいコルクを充填。写真右下/出し縫いの糸目を抑えるためのウィールなど、古典的な靴づくりの道具。写真左下/アウトソールに出し縫いをかける機械。「少しでもずれたら後々に響くので、気を抜けません」(木村雅之さん)。

アノネイ社のカーフを採用。踵の小さい日本人に合う木型から、細かな装飾に至るまで修正を繰り返した、名品クォーターブローグ。

{{item("372").brand}}{{item_p("372")}}

SHARE THIS CONTENTS

MORE CONTENTS

Mercedes-Benz

  • LARDINI
  • TAGLIATORE
  • De Petrillo
  • Whitehouse Cox
  • Stile Latino
  • HERNO
  • PT01
  • CIRCOLO 1901
  • GRENFELL
  • GRAN SASSO
  • INCOTEX 1951
  • Barbour
  • giab’s ARCHIVIO
  • TATRAS
  • THE GIGI