ステレオタイプな
イタリアスタイルは
もう古い!?

「中村ノート」に学ぶ
2019-20年の秋冬ファッション

およそ30年にわたってイタリアのファッションを見続け、この地でディープなものづくりに関わり続けるビームス クリエイティブディレクターの中村達也。そんな彼がこの秋冬に注目するのは、従来のイタリアという固定観念にとらわれない、新しいトラディショナルでした。

Photo / Osami Watanabe(Sammy Studio) 
Styling / Akihiro Shikata
Hair&Make-up / Takashi Hoshi(SIGNO) Model / David

THE NAKAMURA NOTEBOOK

"クラシック"にボーダレス化の
兆しあり!

もう20年以上前から、世界のドレスクロージングにおけるものづくりの基盤は、イタリアが中心となっています。そして「イタリアンクラシック」というスタイルの多大な影響もあってか、長年クラシックスタイル=イタリアという固定観念が非常に強かったと思います。しかしここ数年、私たちのようなバイヤーは、実はそういったイメージに少々飽きていました(笑)。そして生産者側も、そんな私たちの気分を敏感に感じ取っています。もはやイタリア製だからといって、イタリア風でなくてはいけない、という縛りはありません。
たとえば数年前から早い人が取り入れているブリティッシュライクなアイテムや、1980年代に大ヒットしたフレンチアイビーといったテイストを取り入れながら、新しい提案をしていく流れになっています。パリっぽいモノトーンスタイルや、英国トラッドを強烈に匂わせるニットやトレンチコート、そしてモードからの影響を強く受けたドロップショルダーコートなど、今季のヒットアイテムを見れば一目瞭然だと思います。もちろん、イタリアならではのものづくりが加わることで、それらは過去のスタイルとは全く違ったものになります。
「クラシックの多国籍化」とでも呼ぶべきこの傾向を考えると、比較的ゆるやかに流れるメンズファッションの世界にも、そろそろ大きな変革のときがやってきているのかもしれません。ここからはそんな潮流の中から、大人の装いにふさわしい14のキーワードを厳選しました。

談:中村達也

ビームス クリエイティブディレクター

クラシックに
「黒」がやってきた!

クラシックファッション界では近年ほぼ見られなかったブラックカラーが解禁。1980年代に一世を風靡したフレンチアイビーの影響もあります。

クラシックに「黒」がやってきた!

フレンチアイビー的なモノトーンスタイルや、その延長線上にある差し色を取り入れたスタイルなど、ブラックは今季の最注目カラーといえそうです。

英国やアメリカとの
ミックスはもはや定着!

英国やアメリカを代表するようなトラッドアイテムを取り入れたミックススタイルが世界的に定着しました。

英国やアメリカとのミックスはもはや定着!

ツイードジャケット、ラグビージャージー、チルデンニット……。非イタリア的なトラッドアスタイルが、今季のピッティでは多く見られました。

レザーアウター、
復権!

ハイテク流行りの昨今ですが、クラシックの世界ではあえてその流れに逆行するレザーアウターなど、ローテクなアイテムに注目です。

レザーアウター、復権!

クラシックなドレススタイルと、アメリカンなレザーアウターを融合させた装いが、ファッション感度の高いバイヤーたちの間で大ヒット。

モードとクラシックが
融合した!

ドロップショルダーやラグランスリーブコートなど、モードのトレンドをタイムリーに取り入れたアイテムも多く見られています。

モードとクラシックが融合した!

クラシックとモードとのフュージョンとでもいうべきスタイルは、世界の若手バイヤーやエディターたちの間ではもはや定番です。

KEYWORD 1

フレンチシックな
「大人のモノトーン」復活

今季のピッティにおける最重要トピックが、ブラックを使ったモノトーンスタイルが人気を集めていたこと。イタリアンクラシック的なルールでは今までにないものですが、実はこれは1980年代に流行した「フレンチアイビー」の影響を受けたもので、当時のビームスでも流行っていたスタイル。私も当時よく取り入れていたので、懐かしく感じます。コントラストの強いブラック&ホワイトはもちろん、少しやわらかなグレーとの組み合わせもおすすめです。

フレンチシックな「大人のモノトーン」復活

クラシックなアイテムもすべてをモノトーンでそろえれば、モードとは一線を画しつつ、こんなにも新鮮でシックな大人の装いが生まれます。実はこれ、1980年代のフレンチアイビーブームの折に一世を風靡したスタイル。足元に表革ではなくスエード靴を使っている点が、上品さの秘訣です。

Watch by Stylist OWN
ブラックのワイドピッチのストライプ、幅広のピークトラペル、やや太めのワタリからテーパードしたパンツ……。大胆にメリハリを利かせたデザインやシルエットに心奪われる一着。

ブラックのワイドピッチのストライプ、幅広のピークトラペル、やや太めのワタリからテーパードしたパンツ……。大胆にメリハリを利かせたデザインやシルエットに心奪われる一着。

英国トラッドのイメージが強いチルデンセーターに、モノトーンの配色を取り入れることで、モダンな印象に仕上げたVネックニット。やや細めのケーブルも都会的です。

英国トラッドのイメージが強いチルデンセーターに、モノトーンの配色を取り入れることで、モダンな印象に仕上げたVネックニット。やや細めのケーブルも都会的です。

ときにクールに偏りすぎるモノトーンの装いですが、コットンを起毛させたフランネル生地、しかもグレーを交えたチェック柄を使ったこちらのシャツなら、印象は実にソフト。

ときにクールに偏りすぎるモノトーンの装いですが、コットンを起毛させたフランネル生地、しかもグレーを交えたチェック柄を使ったこちらのシャツなら、印象は実にソフト。

薄手のカシミアストールは、季節もシーンも選ばず、コーディネートに洒脱さを添える優れもの。モノトーンのドット柄が、さりげない男らしさを漂わせます。

薄手のカシミアストールは、季節もシーンも選ばず、コーディネートに洒脱さを添える優れもの。モノトーンのドット柄が、さりげない男らしさを漂わせます。

クラシックな千鳥格子と、モダンなボックスシルエットとのコントラストが洒脱な一枚。両胸にポケットのついたカジュアルなデザインゆえ、アウターとしても使えます。

クラシックな千鳥格子と、モダンなボックスシルエットとのコントラストが洒脱な一枚。両胸にポケットのついたカジュアルなデザインゆえ、アウターとしても使えます。

大きなグレンチェックやゆったりしたシルエット、軽やかな素材使いなど、クラシックをモダンに解釈したベルテッドコート。ふわっと羽織るように着るのがおすすめです。

大きなグレンチェックやゆったりしたシルエット、軽やかな素材使いなど、クラシックをモダンに解釈したベルテッドコート。ふわっと羽織るように着るのがおすすめです。

KEYWORD 2

印象を和らげる差し色術
「モノトーン+α」

ブラックやモノトーンの傾向が出てきていますが、それだけじゃ面白くないというイタリア人的な抵抗でしょうか(笑)、きれいな色との組み合わせも同時に注目されています。アメリカンアウトドア的なバッファローチェックをアウターに使ったり、モノトーンのスタイルに今季注目のイエローを利かせたりと、その取り入れ方はさまざまです。ブラックとホワイトの装いに抵抗のある人は、こんな色使いで今季っぽい装いを楽しんではいかがでしょうか?

レッドの差し色で+α!

レッドの差し色で+α!

ブラックとホワイトだけの装いに抵抗がある方は、ジャケットの柄やインナーにレッド系のカラーを利かせてみては? モノトーンのクールさにイタリアらしい温もりが加わり、取り入れやすさは満点です。

バッファローチェックで+α!

バッファローチェックで+α!

かつてはアメカジの代表的パターンとして知られたバッファローチェックのアウターですが、ニットやトラウザースをブラックとグレーで統一すれば柄が落ち着いて見え、シックな装いが完成。今季ぜひマスターしたい着こなしテクニックです。

ブラック×イエローという今季らしい柄と、ブラック無地というシックな色、ふたつの表情が楽しめるリバーシブルコート!

ブラック×イエローという今季らしい柄と、ブラック無地というシックな色、ふたつの表情が楽しめるリバーシブルコート! たっぷりとしたシルエットも実にモダンです。

ブラック、グレー、パープルという3色使いの千鳥格子が洒落た、ロロ・ピアーナ社のウールアルパカ混ツイードコート。ブラックを基調とした着こなしで柄を際立たせましょう。

ブラック、グレー、パープルという3色使いの千鳥格子が洒落た、ロロ・ピアーナ社のウールアルパカ混ツイードコート。ブラックを基調とした着こなしで柄を際立たせましょう。

ファッション業界人がこぞって取り入れている、バッファローチェック柄のピーコート。こちらはずっしりと目の詰まったニットを採用しており、圧倒的な上質感で差がつく一着。

ファッション業界人がこぞって取り入れている、バッファローチェック柄のピーコート。こちらはずっしりと目の詰まったニットを採用しており、圧倒的な上質感で差がつく一着。

KEYWORD 3

“モノ語り”を刻める
「レザーアウター」、完全定着

世の中全体では圧倒的にハイテク機能のアウターが人気なのですが、それに対するアンチテーゼも確実にあり、決してハイテクとはいえない、天然素材のアウターへの注目も高まっています。実はこの春夏はかつてないほどレザーウェアがヒットしたのですが、その流れは今季も続くでしょう。スエードブルゾンやムートンコートが真っ先に挙げられますが、アメリカンテイストのブルゾンも登場するなど、バリエーションもかなり広がっています。

“モノ語り”を刻める「レザーアウター」、完全定着

薄手の中綿が入ったオフホワイトのレザーブルゾンを選び、ベージュのカシミアニットやホワイトデニムと合わせることで、ワイルドな印象を見事に払拭。大人のレザースタイルは、上品さが大切です。

レザーアウターの復権によって再注目されるのが、往年のスエードのドライビングブルゾン。ゴートレザーを使ったこちらは、気取らず着込んで味を出すのが醍醐味です。

レザーアウターの復権によって再注目されるのが、往年のスエードのドライビングブルゾン。ゴートレザーを使ったこちらは、気取らず着込んで味を出すのが醍醐味です。

上質レザーやクセのないデザインなど、一生モノとして手に入れたい完成度を備えた、ムートン製のダッフルコート。かなり重厚そうですが、意外にもその着心地は軽快です。

上質レザーやクセのないデザインなど、一生モノとして手に入れたい完成度を備えた、ムートン製のダッフルコート。かなり重厚そうですが、意外にもその着心地は軽快です。

シルキーな肌ざわりのナッパレザーを使い、キルティングにダウンを仕込んだ、存在感抜群のコート。襟裏のファーでブラウンのアクセントを利かせている点が小粋です。

シルキーな肌ざわりのナッパレザーを使い、キルティングにダウンを仕込んだ、存在感抜群のコート。襟裏のファーでブラウンのアクセントを利かせている点が小粋です。

品のよいキャメルカラーといい毛足の長さといい、ラグジュアリー感満点のムートンコート。ライトグレーやベージュ、ホワイトといった淡色系との色合わせで、よりエレガントに。

品のよいキャメルカラーといい毛足の長さといい、ラグジュアリー感満点のムートンコート。ライトグレーやベージュ、ホワイトといった淡色系との色合わせで、よりエレガントに。

肉厚ながら軽快な極上ラムスキンを使った、ネイビーのムートンアウター。グレーのトラウザースやホワイトデニムに合わせるなど、ピーコート感覚で活用できる一着です。

肉厚ながら軽快な極上ラムスキンを使った、ネイビーのムートンアウター。グレーのトラウザースやホワイトデニムに合わせるなど、ピーコート感覚で活用できる一着です。

一見ハードなミリタリーアウターですが、実はソフトなカーキ色のゴートスエードを使って上質にアレンジした、こだわりの一着。ウールのトラウザースとの相性も抜群です。

一見ハードなミリタリーアウターですが、実はソフトなカーキ色のゴートスエードを使って上質にアレンジした、こだわりの一着。ウールのトラウザースとの相性も抜群です。

KEYWORD 4

軽やかに生まれ変わった
「トラディショナルニット」

フェアアイル、チルデン、ノルディックといった、昔ながらのトラディショナル柄のニットが今季注目されています。いわゆる定番モノもよいのですが、それをイタリアのファクトリーでつくらせると、柄もモダンに、素材も着やすいものにアレンジされるので、結果としてこの流れはさらに広がっていくと思います。着こなしも同様で、Tシャツの上にチルデンセーターを着るような、昔ならあまり考えられなかったようなモダンなスタイルが、今や主流なのです。

マルチカラーのボーダー柄!

マルチカラーのボーダー柄!

装いに新鮮さを与えてくれる鮮やかなマルチカラーのニットも、今季らしいアイテム。ニットの色調に近いコーデュロイのトラウザースと合わせれば、子供っぽくならず、落ち着いた着こなしが楽しめます。

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英国トラッドなフェアアイル柄!

英国トラッドなフェアアイル柄!

まさしく英国トラッドといった風情のフェアアイル柄のショールカラーカーディガンですが、イタリア製のこちらはソフトで柄や色も現代的にアップデートされており、野暮ったく見えない点が魅力です。

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A.英国領ガンジー島で編まれたノルディックニットを、モノトーン配色にアレンジすることによって、モダンな印象にアップデート。

B.1枚でも存在感のある、凝った編模様を施したケーブルニット。着心地もとても軽く、トラディショナルすぎない点が魅力です。

C.カシミアなどを混紡し、薄手でソフトな着心地にアレンジしたフェアアイルニット。カジュアルにカットソーを合わせるのもおすすめ。

D.今季を代表するトラッドアイテム、チルデンベスト。アルパカ100%で薄手に編んでいるから、レイヤードしやすさが抜群です。

E.フレンチトラッドの象徴であるボートネックのボーダーTシャツを、しなやかな薄手のウールを使い品よく仕上げた一着。

KEYWORD 5

クラシックフィットで原点回帰!
「トレンチコート」

実は昔のピッティでは、コットンギャバジンのトレンチコートを着ている人をほとんど見なかったんです。あってもスリム&ショートにアレンジされたものばかりでした。しかし最近ではよりオリジナルに近い、ゆったりとしたシルエットで男らしいクラシックトレンチが増えてきました。きっちりとした着こなしのみならず、ちょっとアメリカっぽいカジュアルなスタイルにも合わせられるでしょう。

クラシックフィットで原点回帰!「トレンチコート」

玉虫色のコットンギャバジンや、ゆったりとフレアするシルエットなど、クラシックの本流をいくタイロッケンコート。フランネルのピンストライプスーツと合わせた、ちょっと懐かしいスタイルが新鮮です。

胸のパッチポケットを象徴とする、英国由来のモーターサイクルコート。オイルド特有の素材感も相まって、存在感は絶大。

絶妙なベージュと、カシミアのような肌ざわりに惹かれる、極上のウールトレンチ。凝ったボタンなどディテールにも注目を。

表地にカーキ色のウールギャバジン、裏地にコットンソラーロを使うことで、上品なミリタリーテイストを感じさせる一着に。

KEYWORD 6

クラシックにリラックス感を添える
「ラグランコート」

クラシック回帰以降、肩のラインがきっちりしたテーラードコートがアウターの主役でしたが、ここにきてコートにもリラックス感が求められるようになりました。そんな流れで、肩が丸くて落ち感があり、緩くなったボディと相性のよい、ラグランスリーブのコートが注目され始めたのでしょう。2〜3年前から感度の高い業界人たちに支持されましたが、今もなお注目されるアイテムです。

クラシックにリラックス感を添える「ラグランコート」

レトロな生地感やAラインのシルエットが逆に新鮮に見える、ツイード生地の英国製ステンカラーコート。カラーニットなどでシンプル&カジュアルに着こなすのが、現代的に見せるコツです。

ブラックウォッチ柄、センターフックベント、比翼仕立てなどトラッドの匂いを濃厚に漂わせる、英国製のラグランコート。

重厚さと発色のよさで知られた、英国製ヘリンボーンウール生地を採用。ウエストベルトを使いシルエットをアレンジして。

クラシックな千鳥格子のダブルブレストコートは、ブラック&ホワイトの配色と軽やかな仕立てによって、モダンさを注入。

KEYWORD 7

モードのトレンドと一体化した
ドロップショルダーコート

モードの世界のトレンドが数年後にクラシックなファッションに影響を及ぼすことは、多々あります。昨今のビッグシルエットブームからドロップショルダーへの流れは、確実にモードファッションが、クラシックに影響を及ぼして生まれたものでしょう。今までのきっちりしたテーラードコートでは表現できないリラックス感が、その肩の落ち感から生まれてくるのです。

モードのトレンドと一体化したドロップショルダーコート

この肩がリラックス感の秘訣!

モード的にも、クラシック的にも見えるドロップショルダーのベルテッドコート。大人ならば迷わずウールトラウザースやプレーンなニットと合わせて、後者に寄せるのがベター。モードの余韻を楽しみましょう。

ふわっと軽い生地と副資材を省いたアンコン仕立てが相まって、セーターのような着心地を堪能できる「バタフライ」モデル。ネイビー地にブラウンを効かせたチェック柄は、スーツからカジュアルまで着こなしも自在。

ふわっと軽い生地と副資材を省いたアンコン仕立てが相まって、セーターのような着心地を堪能できる「バタフライ」モデル。ネイビー地にブラウンを効かせたチェック柄は、スーツからカジュアルまで着こなしも自在。

上質なキャメル100%生地とハンドメイドを多用したナポリ仕立てにより、圧倒的なクラス感を備えたコート。こんな一着だからこそ、あえて肩を落として気取らず羽織るのが、大人の品格を漂わせる秘訣です。

上質なキャメル100%生地とハンドメイドを多用したナポリ仕立てにより、圧倒的なクラス感を備えたコート。こんな一着だからこそ、あえて肩を落として気取らず羽織るのが、大人の品格を漂わせる秘訣です。

KEYWORD 8

見た目はクラシック、
でも着心地はモダンな「ツイードジャケット」

イタリアっぽい派手な柄のジャケットはずいぶん減って、この秋冬はどの生地メーカーやブランドも、「英国調のツイード風ながら、柔らかくて軽いもの」をイチ推ししています。トラディショナルなものに注目しつつも、イタリア的な感性によって咀嚼する、という意味では今季のニットにも共通する傾向です。決してクラシックになりすぎない、「イメージとしての英国」なんです。

見た目はクラシック、でも着心地はモダンな「ツイードジャケット」

生地も仕立ても軽快に!

英国トラッドなツイードジャケットを、軽やかな仕立てや、シャンブレーシャツを取り入れたカジュアルなVゾーンによって、モダンに着こなす紳士。

右/しっとりとした肌ざわりのシルク混ウールやグリーンのオーバーペーンによって、洗練されたムードを感じるツイードジャケット。中/ネップを織り交ぜた味わい深いヘリンボーン柄のツイードを採用。本格派のツイードもやや軽めのウェイトを選ぶのが当世流です。左/イタリアらしい色鮮やかなツイードを使用。仕立ても軽く、カーディガンのように羽織れます。

右/しっとりとした肌ざわりのシルク混ウールやグリーンのオーバーペーンによって、洗練されたムードを感じるツイードジャケット。中/ネップを織り交ぜた味わい深いヘリンボーン柄のツイードを採用。本格派のツイードもやや軽めのウェイトを選ぶのが当世流です。左/イタリアらしい色鮮やかなツイードを使用。仕立ても軽く、カーディガンのように羽織れます。

右/化繊を混紡した薄手のツイードは、クラシックさとモダンさを併せ持つ格別な生地。凝ったボタンや裏地などディテールまで見事。中/グレーのヘリンボーンツイードジャケットは、ブラックのタートルニットやトラウザースを合わせた、フレンチシックな装いにピタリとはまる。左/華やかな大柄のガンクラブチェックが、モダンな英国テイストを醸し出す一着。

右/化繊を混紡した薄手のツイードは、クラシックさとモダンさを併せ持つ格別な生地。凝ったボタンや裏地などディテールまで見事。中/グレーのヘリンボーンツイードジャケットは、ブラックのタートルニットやトラウザースを合わせた、フレンチシックな装いにピタリとはまる。左/華やかな大柄のガンクラブチェックが、モダンな英国テイストを醸し出す一着。

KEYWORD 9

トラッド派ならずとも着たい
「コーデュロイ」アイテム

コーデュロイはツイードと並んで、英国を強く連想させる素材です。日本では野暮ったいイメージが根強いのか(笑)、今までブレイクしませんでしたが、ヨーロッパでは近年大人気で、従来のセオリーを覆す多彩なアイテムが登場しています。イタリアっぽいホワイトコーデュロイのパンツや、フレンチアイビー時代に流行ったシャツ、モダンな太畝のジャケット……。アイテムに広がりを見せている今季こそは、ぜひチャレンジしてほしいものです。

A.ブルーのシャツと合わせて、コーデュロイスーツにイタリアンテイストをプラス。B.ダブルブレストのデザインやオフホワイトカラーで、洗練された装いにアップデート。C.ラグビージャージやデニムなど、アメカジ的なアイテムとミックス。D.存在感抜群のコーデュロイのコートにも注目を。

こう着ればモダンに!

こう着ればモダンに!

ホワイトやベージュの色使いで、コーデュロイの野暮ったさを見事に打ち消したトラッドスタイル。インナーにTシャツを合わせているのも、モダンさの秘訣。

T-Shirts by Stylist Own
タイドアップはもちろんラフな着崩しにまで対応する、汎用性抜群のコーデュロイスーツ。オーソドックスな見た目ながら、軽快な仕立てによりモダンな佇いの一着。

タイドアップはもちろんラフな着崩しにまで対応する、汎用性抜群のコーデュロイスーツ。オーソドックスな見た目ながら、軽快な仕立てによりモダンな佇いの一着。

鮮やかなブルー、ランダムな太さでまるでストライプのように見える畝。ボタン幅の狭いダブルブレストなど、随所にモードの薫りが漂うコーデュロイジャケット。

鮮やかなブルー、ランダムな太さでまるでストライプのように見える畝。ボタン幅の狭いダブルブレストなど、随所にモードの薫りが漂うコーデュロイジャケット。

深みのあるボルドーカラーのコーデュロイと軽やかな仕立てを融合させた、イタリア的な色気が漂うジャケット。袖裏もない、まるでシャツジャケットのような一着です。

深みのあるボルドーカラーのコーデュロイと軽やかな仕立てを融合させた、イタリア的な色気が漂うジャケット。袖裏もない、まるでシャツジャケットのような一着です。

両胸のポケットやボックスシルエット、ハリのある厚手の生地を備えた、アウターがわりに着られるコーデュロイのオーバーシャツ。インナーにニットを合わせた装いもおすすめです。

両胸のポケットやボックスシルエット、ハリのある厚手の生地を備えた、アウターがわりに着られるコーデュロイのオーバーシャツ。インナーにニットを合わせた装いもおすすめです。

着こなしを新鮮かつモダンに見せてくれる、ダークネイビーのコーデュロイ製ミリタリーアウター。機能素材の中綿を入れているので、着心地も軽く保温性も抜群です。

着こなしを新鮮かつモダンに見せてくれる、ダークネイビーのコーデュロイ製ミリタリーアウター。機能素材の中綿を入れているので、着心地も軽く保温性も抜群です。

ラグジュアリー感漂う、オフホワイトのコーデュロイパンツ。ストレッチを利かせた生地といい、ゆるやかなテーパードシルエットといい、とても現代的な印象です。

ラグジュアリー感漂う、オフホワイトのコーデュロイパンツ。ストレッチを利かせた生地といい、ゆるやかなテーパードシルエットといい、とても現代的な印象です。

KEYWORD 10

英国クラシックな「チェックスーツ」

ビジネスというよりファッションとしてのトレンドですが、スーツは英国的なチェック柄が大人気です。色でいうと黒白のグレンチェックや千鳥格子に加え、イタリア人が好むブラウン系が主流といえるでしょう。前者のタイプなら、英国っぽいVゾーンはもちろん、黒のニットタイやタートルネックに合わせてフレンチシックな装いも楽しめますから、ぜひ一着手に入れてほしいですね。

英国クラシックな「チェックスーツ」

今季ぜひ一着手に入れたい、ブラック&ホワイトの千鳥格子のスーツ。あえて英国テイストのVゾーンではなく、色数を絞ったグレーベースのタイを合わせることで、フレンチシックに装うのが粋です。

Watch by Stylist OWN
ブラウンのグレンチェック地、チェンジポケット、パンツのサイドアジャスターなど、趣味性に富んだ一着。英国的ディテールのナポリ仕立てというミックステイストのスーツです。

ブラウンのグレンチェック地、チェンジポケット、パンツのサイドアジャスターなど、趣味性に富んだ一着。英国的ディテールのナポリ仕立てというミックステイストのスーツです。

遠目には無地に見える、絶妙なトーンのネイビーのチェック生地を採用。ビジネスシーンはもちろん、ニットなどを合わせたスポーティな装いにまで対応します。

遠目には無地に見える、絶妙なトーンのネイビーのチェック生地を採用。ビジネスシーンはもちろん、ニットなどを合わせたスポーティな装いにまで対応します。

やや太めのラペル幅や、2プリーツのテーパードパンツなど、さりげない主張を感じさせるグレンチェックのスリーピーススーツ。完璧な柄合わせなど、仕立ても見事。

やや太めのラペル幅や、2プリーツのテーパードパンツなど、さりげない主張を感じさせるグレンチェックのスリーピーススーツ。完璧な柄合わせなど、仕立ても見事。

KEYWORD 11

これぞフレンチアイビー!な
「チェックパンツ」

グレンチェック、千鳥格子、ブラックウォッチ柄のタータンチェック……。ウールトラウザースの流れは明らかに、80年代のフレンチアイビーの影響があります。こういった柄もののパンツを着こなすときは、トップスをシンプルにまとめるのが大切。ミドルゲージのタートルネックやニットジャケット、ローファーなどトラディショナルなアイテムが好相性です。無理をせず取り入れたいですね。

これぞフレンチアイビー!な「チェックパンツ」

タータンチェック、やや深めの股上、2インプリーツ、太めの裾幅など、これぞフランス流トラウザースといえる一本。シックに着こなすためには全身を同系色で揃えて、チェックをなじませるのがポイントです。

ぱっと見はクラシックなグレンチェックのトラウザースですが、実はポリエステルにウール、レーヨンなどを混紡した機能的な素材使い。細身ながらストレッチ性は抜群で、ジャージーを着ているかのように快適です。

ぱっと見はクラシックなグレンチェックのトラウザースですが、実はポリエステルにウール、レーヨンなどを混紡した機能的な素材使い。細身ながらストレッチ性は抜群で、ジャージーを着ているかのように快適です。

クラシックなブラックウォッチ柄のトラウザースも、1980年代のフレンチアイビーの全盛期、一世を風靡した名品のひとつ。ダブルブレストのネイビーブレザーや、タッセルローファーとの相性が抜群です。

クラシックなブラックウォッチ柄のトラウザースも、1980年代のフレンチアイビーの全盛期、一世を風靡した名品のひとつ。ダブルブレストのネイビーブレザーや、タッセルローファーとの相性が抜群です。

ブラックのスエードシューズやブレザーと合わせたい、千鳥格子のウールトラウザース。2インプリーツですが、ベルトループのないサイドアジャスター仕様のため、ウエスト回りはすっきりと見えるのが嬉しいところ。

ブラックのスエードシューズやブレザーと合わせたい、千鳥格子のウールトラウザース。2インプリーツですが、ベルトループのないサイドアジャスター仕様のため、ウエスト回りはすっきりと見えるのが嬉しいところ。

KEYWORD 12

「ブラック」を利かせるか?
「パネル」で遊ぶか?
ネクタイも脱クラシコ

今季のファッションの傾向にマッチする、ブラックベースのタイが増えています。ただし完全なモノトーンというより、ブラウンやイエロー、パープルを利かせるなど、ブラックをポイントで使おう、という提案ですね。柄でいうと1930〜’50年代にアメリカで流行した「パネルタイ」も人気。ネクタイの分野においても、ステレオタイプなイタリアンスタイルを脱却しようという流れは強いですね。

Vゾーンが締まる「ブラックネクタイ」

Vゾーンが締まる「ブラックネクタイ」

スーツやシャツを完全にモノトーンで統一せずとも、ブラックベースの小紋タイをポイントで利かせるだけで、精悍かつモダンなVゾーンが完成します。結び目はコンパクトにまとめるのが鉄則!

クレスト柄、ストライプ、小紋柄……。ブラックのネクタイといってももちろんオールブラックではなく、「ブラックをベースに使ったネクタイ」と幅広く捉えたい。千鳥格子柄のスーツなど、モノトーンの装いに実に映えるのです。

クレスト柄、ストライプ、小紋柄……。ブラックのネクタイといってももちろんオールブラックではなく、「ブラックをベースに使ったネクタイ」と幅広く捉えたい。千鳥格子柄のスーツなど、モノトーンの装いに実に映えるのです。

Vゾーンが華やぐ「パネルタイ」

Vゾーンが華やぐ「パネルタイ」

ランダムに配置されたワイドピッチのストライプ柄が、スーツのVゾーンを粋に仕上げてくれるパネルタイ。クレリックシャツと合わせれば、往年のブリティッシュアメリカンテイストが漂います。

Watch by Stylist OWN
この秋、多くのネクタイブランドが提案していた、パネルストライプのネクタイ。なかでも注目は、写真のように異なる色や太さのストライプをランダムに配置した、華やかなもの。過去にアメリカで流行したものですが、フランスのイメージもあり、Vゾーンの表情を立体的に見せてくれます。

この秋、多くのネクタイブランドが提案していた、パネルストライプのネクタイ。なかでも注目は、写真のように異なる色や太さのストライプをランダムに配置した、華やかなもの。過去にアメリカで流行したものですが、フランスのイメージもあり、Vゾーンの表情を立体的に見せてくれます。

KEYWORD 13

もはや「アイビー」は世界基準だ!

クラシック回帰の流れとカジュアル化の流れとが融合。カジュアルスタイルとしてのアイビーやプレッピーに注目が集まっています。しかし現代においてはアメリカというひとつの国のイメージでセグメントされることはありません。イタリアをものづくりの基盤にすることで生まれた新しいアイビースタイルが、これからの主流になるでしょう。

もはや「アイビー」は世界基準だ!

英国をルーツに持つスクールマフラー(A)やパイピングジャケット(B)、チルデンセーター(C)、タータンチェックのシャツやタイ……。今季はさまざまなアイビー&トラッド由来のアイテムが、世界中のブランドによってアップデートされています。国籍にとらわれずに柔軟に取り入れて、現代的な着こなしを楽しみましょう。

A.
B.
C.
D.
E.
F.
G.
H.

KEYWORD 14

「ブラックスエード」で足元から
フレンチシックを!

1980年代のフレンチアイビー時代、モノトーンのコーディネートに合わせる靴といえば、ブラックスエードが定番でした。ブラックの表革は、英国的というか少しストイックすぎるのでしょう。昨今人気のベルベットシューズにも共通することですが、ブラックスエードのほどよいやわらかさが着こなしにハズし効果を与えてくれるのです。

フランスを代表する名品Uチップ『シャンボード』も、ブラックのスエード素材ならばよりシックな印象に。カジュアルな装いを格上げしてくれる、汎用性の高い一足です。

フランスを代表する名品Uチップ『シャンボード』も、ブラックのスエード素材ならばよりシックな印象に。カジュアルな装いを格上げしてくれる、汎用性の高い一足です。

クールなイメージのサイドゴアブーツですが、ブラックスエードを使ったこちらはソフトな印象。グレーのトラウザースに合わせても重厚すぎず、足元に軽快さを与えてくれます。

クールなイメージのサイドゴアブーツですが、ブラックスエードを使ったこちらはソフトな印象。グレーのトラウザースに合わせても重厚すぎず、足元に軽快さを与えてくれます。

1980年代にビームスのスタッフ内でも大流行した、ブラックスエードのシングルモンクストラップ。ウールのトラウザースだけではなく、デニムとの合わせもおすすめです。

1980年代にビームスのスタッフ内でも大流行した、ブラックスエードのシングルモンクストラップ。ウールのトラウザースだけではなく、デニムとの合わせもおすすめです。

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