THE TOP
of
NAPOLI

雲上ナポリスーツに
ビームスが学ぶこと

正直、たくさん売れるものではないけれど、ビームスは〝最高峰〞を扱うことにこだわりを持っています。
それは、彼らの美意識に学ぶものがあるから。ここでは、ナポリの雲上ブランドを掘り下げてみましょう。

Photo / Portrait : Tomoyuki Tsuruta, Still : Osami Watanabe (Sammy studio) Styling / Akihiro Shikata

天才モデリスト、チェザレ・アットリーニ

天才モデリスト、
チェザレ・アットリーニ

伝説的サルトの息子として生まれ、幾多のブランドでモデリストとして活躍。のちに自らのブランドを立ち上げると、現代的ナポリスーツの礎となるさまざまなスタイルを考案し世に広める。その後も常にアップデートを続け、ナポリで最も優れた既製服ブランドの一角として不動の地位を確立。

父のレガシーを受け継ぐ息子たちもブランドの柱

父のレガシーを受け継ぐ
息子たちもブランドの柱

チェザレの息子マッシミリアーノ(右)とジュゼッペ(左)もブランドの中核として活躍。天才モデリストである父から、スーツ作りのノウハウをすべて継承しています。

手縫いを多用しつつ極めて端正な顔立ち

手縫いを多用しつつ
極めて端正な顔立ち

ス・ミズーラ同様のハンドメイドで作られていながら、非常に精緻で端正な佇まいをしているのがアットリーニの特徴。細部まで美意識が行き届いており、まったく隙のない仕立てです。

ほぼミシンなし!ナポリ随一の"静かな"工房

ほぼミシンなし!
ナポリ随一の"静かな"工房

ナポリの工房を訪ねると、これが既製服の生産現場かと目を疑いたくなる光景が広がっています。ミシンはほとんど使われず、白衣を着た職人たちが黙々とスーツ作りに集中しています。

ス・ミズーラ並みに手間をかけたハンドメイド

ス・ミズーラ並みに手間を
かけたハンドメイド

既製服のレベルを超えたハンドメイドによって仕立てられるアットリーニのスーツ。手仕事の多さはス・ミズーラ並みです。スーツ最大の要所である上襟のアイロンワークにも、ほかの既製服ブランドとは比較にならないほどの手間と時間が費やされています。

知るほどに気づく“現代スーツの父”の偉大さ
知るほどに気づく“現代スーツの父”の偉大さ
知るほどに気づく“現代スーツの父”の偉大さ
知るほどに気づく“現代スーツの父”の偉大さ

チェザレ アットリーニ

知るほどに気づく
“現代スーツの父”の偉大さ

CESARE ATTOLINI

既製スーツの頂点とは? ――そのビームス的回答は、時代を問わず常にひとつ。チェザレ アットリーニです。「とにかくフォルムの美しさが別格」(ビームス ハウス 丸の内・三國屋)、「ハンドメイドなのに土臭さがなく、都会的な優雅さを感じる」(ビームス ハウス 神戸・麻生)、「構築感のある見た目からは想像できないほど柔らかい着心地」(ヴィジュアルマーチャンダイザー・大島)と、実際の愛用者たちもその素晴らしさを口々に讃えます。 なぜ、アットリーニはかくも別格のクオリティを誇るのでしょうか。ひとつには、既製服のレベルを超えたハンドメイドの技が挙げられるでしょう(上で解説)。しかし、アットリーニ最大の強みは、天才モデリストであるチェザレ・アットリーニその人にあり。クリエイティブディレクター・中村はこう語ります。「日本ではあまり知られていませんが、モデリストは既製スーツ作りにおける最大のキーパーソン。どういう仕事なのかというと、設計図である型紙を引き、それを実際の服として作りあげていく各工程において、職人たちを指揮していく役割になります。いくら型紙がよくても、縫製やアイロンワークを担当する職人が理想どおりの仕事をしてくれなければ、服としては未完成。ですから、モデリストの手腕ひとつでクオリティは大きく変わるのです。チェザレさんは不世出の天才モデリスト。ゆえにアットリーニは別格のクオリティを誇るのです。また、モデリストはスーツの作風を決定づけるディレクターでもあります。アットリーニは一見変わらないようでいて、時代性の表現力が素晴らしい。実は現在スタンダードになっているゴージラインが肩線と並行になったスタイルも、1990 年代後半にチェザレさんが打ち出し、定着させたものなのです。クオリティのコントロールも時代を掴むセンスも卓越している。私たちスーツの作り手にとって、アットリーニは永遠の憧れです」。

親子三人の共作で生まれる"いま"の格好よさ

親子三人の共作で生まれる
"いま"の格好よさ

右からマエストロのルイジ・ダルクオーレ、娘のクリスティーナ、娘婿のダミアーノ。3人体制でブランドを仕切るようになってから、ダルクオーレの名声は世界的なものに。今もチームで各国の顧客と接し、感性を磨いています。

ダルクオーレ

結局、スーツは
薀蓄よりも“格好よさ”

DAL CUORE

既製スーツブランドの頂点としてアットリーニを位置付ける一方、サルトリアの最高峰としてビームスが長らく展開しているのがダルクオーレです。ナポリサルトの大多数は、よくも悪くも唯我独尊。自らのスタイルを頑なに守るあまり、今の時代感とかけ離れてしまうこともままあるのが実情です。しかし、ダルクオーレは数少ない例外。その歴史の初期から、時代性を反映したスタイリッシュなスーツ作りで評価を得てきました。「ナポリ人にしては珍しく(笑)、謙虚で真面目、そして柔軟なサルトだと思いますね。向こうから積極的に新しいスタイルを提案してくるし、こちらからリクエストをすると真摯に応えてくれます。例えばパンツに英国風のサイドアジャスターを付けてほしいとお願いしても、器用にそれをやってくれる。そのセンスが素晴らしいですよね」と、クリエイティブ ディレクター中村は話します。 現在、サルトリアを率いるのはマエストロのルイジと娘のクリスティーナ、娘婿のダミアーノの3 人チームで欧州だけでなくアジア諸国でも彼らがチームとなって精力的にトランクショーを行い、世界中の顧客のリクエストに応えています。もともと備えていた柔軟性に加え、近年のこうした経験がその感性にいっそう磨きをかけ、いまや世界で最も勢いのあるサルトリアともっぱらの評判です。「袖付けやステッチなど、“わかりやすい”ナポリらしさが魅力」(ビームスF 新宿・伊藤)、「高級スーツなのに気取りすぎない、力の抜けた感じがいい」(ビームス ハウス 丸の内 齋藤)、「立体感と軽やかさをともに備えた稀有な服です」(ビームスF・村瀬)と、愛用者もその作風に惚れ込んでいるようです。「技術だけなら、ナポリには素晴らしいサルトが多くいます。でも、ビームスが大切にしたいのは薀蓄よりも“格好よさ”。ダルクオーレのスーツ作りを見ていると、そのことを改めて実感しますね」(中村)。

ダルクオーレ
実はパンツが美しい!その理由は……

実はパンツが美しい!
その理由は……

パンツ作りを外部の専業職人に任せるサルトリアも多いなか、ダルクオーレはルイジの弟がパンツ作りを担当。そのためパンツのクオリティも非常に高く、シルエットも美麗。ルイジのスーツ姿(左)も、全身がバッチリ決まっています。

温もりとモダンさが同居する独自の作風

温もりとモダンさが
同居する独自の作風

いかにもサルトリア仕立てなムードが漂う、温かみのある佇まい。しかしながら、当地の仕立て服にありがちな"時代の止まった"感じは皆無で、モダンさもしっかり備わっています。

もちろんフルハンドメイド

もちろん
フルハンドメイド

工房はナポリのフラッタマッジョーレに位置。ス・ミズーラメインゆえ、既製服もフルハンドメイド。これで30万円台というのはかなりコストパフォーマンスが高いといえます。

SHARE THIS CONTENTS

Facebook

Twitter

MORE CONTENTS

  • LARDINI
  • GTA
  • TAGLIATORE
  • De Petrillo
  • PT
  • HEVO
  • JOHN SMEDLEY
  • Whitehouse Cox
  • giab’s ARCHIVIO
  • cinquanta
  • GRAN SASSO
  • GRENFELL
  • INCOTEX 1951
  • THE GIGI
  • WOOLRICH
  • BUNNEY
  • EMMETI
  • drakes
  • Felisi
  • INVERTERE
  • T-jacket
  • maria santangelo
  • Tito Allegretto
  • BrooksBrothers
  • Toff&Loadstone
  • VEILANCE
  • Seaward&Stearn
  • PELLE MORBIDA